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吉原 雅昭(よしはら まさあき)

ゼミ紹介

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認知症とともに生きる本人への支援

認知症支援に関する研究は、これまで家族への調査か、支援職(医療、看護、介護、福祉、リハビリ等)への調査に極端に偏っていました。認知症とともに生きる本人を対象とした研究は非常に少なく、あっても、研究者や支援職等が、認知症とともに生きる人々を、外側から「測定」したり「単純に観察」するものが大部分でした。私は、こういった研究だけでは、認知症とともに生きる本人たちの状況は改善しないと考えます。しかし日本でも、近年は急激な変化が生じています。特に2010年代以降、認知症とともに暮らす本人自身の発言、社会的な行動、当事者組織活動等が盛んになり、国の施策、地方自治体の施策、専門職組織等にも影響を与えるようになってきたのです。例えば、「日本認知症本人ワーキンググループ」のWEBページをご覧ください。掲載されている多くの情報にふれれば、皆さん、驚かれることでしょう。今私が関心を持っているのは、このように、認知症とともに生きる本人が、現在行われている施策や、個々のサービスや、地域社会や専門職等に「どんな影響を与えることができるか。どのような方法で」といったことです。最近は、私自身、認知症とともに生きる皆さんや、支援職の方々との接点も増えてきました。今後も、皆さんとともに、研究したいと望んでいます。認知症支援の実践や研究では、近年は「パーソンセンタードケア」という考え方が注目されています(日本にはこれを具体化した「センター方式」という独自の支援方法もあります)。スウェーデンでは認知症支援の国施策の基本理念が、パーソンセンタードケアです。私は2012年度以降、スウェーデンの研究者と認知症支援について共同研究をしているので、これもより深めていく予定です。というような私と、ゼミで一緒に学びたい皆様を、お待ちしています。

メールアドレス

yoshihara[at]sw.osakafu-u.ac.jp

※メール送信時は[at]を@に変えてください。

 

プロフィール

研究テーマ

認知症ケアの日本、スウェーデン比較研究および自治体福祉システムの国内比較と国際比較

おもな著作

「認知症ケアの新しい基礎知識と近年の政策動向」関川芳孝ほか編著『教育福祉学の挑戦』せせらぎ出版、2017年

「スウェーデンにおける居宅で暮らす認知症高齢者への専門組織による支援」大阪府立大学『社会問題研究』第68巻、2019年

「スウェーデンにおける認知症高齢者のための特別住宅の空間、居住者の暮らし、支援の基本構造」『大阪府立大学紀要』第68巻、2020年

Municipal service planning for elderly with dementia in Sweden – Case study of 7 cities

大阪府立大学『社会問題研究』第70巻、2021年

Municipal service planning for elderly with dementia in Japan and in Sweden

大阪府立大学『社会問題研究』第69巻、2020年

Books published by people with dementia in Japan

大阪府立大学『社会問題研究』第67巻、2018年

Person Centered Care Research in Japan

大阪府立大学『社会問題研究』第66巻、2017年

主催している主なセミナー等

2012年から、スウェーデンのカールスタッド大学の教員数名と日本の研究者数名で、認知症ケアの比較研究を始めました。この大学は、府大と国際交流協定を結んでいます。

趣味

連れ合いと、食べ歩き。海外旅行(お気に入りはイタリアと台湾)。国内で温泉旅行。音楽はJAZZを聴くのが好き。


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